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1966 – 1970

企業を設立すること

イタリアのデザインとその産業は、当初の強烈なイメージと圧倒的な人気から10年が経つと、いくつかの矛盾を抱え始めました。60年代の情熱によって制作された殆どのものは、プロダクト自身が日常の新しい自由と自律を反映し、ポップなデザインで作られていました。

メーカー各社が工業化や繰り返し生産出来るプロダクト生産を優先し始めていた中、FLOSのようなイタリアを代表する企業は独自の研究の痕跡を残すためにも、発売時には驚きを与え、時間が経つにつれて本物のロングセラーになる作品を送り出すというより慎重な戦略でした。

ピエル・ジャコモは1968年に急死してしまいますが、FLOSの幸運な出来事の1つとしてカスティリオーニ兄弟との出会いが挙げられます。
カスティリオーニ兄弟は建築家というより発明者、デザイナーというよりアーティストに近い存在で、(Toio やザノッタのMezzadroトラクタースツールのように) 既存の工業部品を組み合わせる知識を持っていました。またArcoやSplugen、Black and Whiteや1969年にピオ・マンズの二人でデザインしたParentesiのように) 今までのものとは全く発想の異なる革新的で直感的なデザイン力の持ち主でもあり、その斬新で大胆なデザイン開発力で次々と斬新な照明を世に送り出しました。

カスティリオーニがセルジオ・ガンディーニよりFLOS全プロダクトの共同責任者へ任命されてからは、最高のコンビネーションを発揮するようになりました。その後、傑出したデザインの作品を設計するに留まらず、プロダクト生産や市場でのライフサイクル、エンドユーザーへ届けられるまでの全てのプロダクトライフをプロジェクトすることを意識するようになりました。

デザイナーのスキルが高いと顧客のテイストに合うプロダクトを生産できるという「美しいユートピア」からより「現実的」な思考に代わり始め、ガンディーニ、カスティリオーニとスカルパは光源や素材研究に注ぐ熱意をプロダクトの包装やグラフィックス、ストレージや流通などにも注ぐようになりました。

デザイン雑誌やデザイン本は洗練された言葉遣いを用い、「商業的」な言葉や課題を扱わない傾向ですが、企業にとってこれらは重要且つ不可欠な課題です。急激な経済発展を迎えたイタリア社会に最初の経済危機が生じてきた時期には特に深刻な課題でした。
一方では労働者のより良い生活条件の主張と、もう一方では消費社会世代の不安が重なり、1968年の「小さな革命」が誕生しました。
政治レベルの影響はなかったものの、文化面では重要な革命になり、その余韻で「自宅に価値ある家具を入れたい」という意識が深まりました。

1968年から受け継がれた考え方はデザイン市場の発展にも反映され、イタリアデザインの一翼を担っていたカスティリオーニの実験的なアプローチが盛んになりました。これらの変化を意識しながら、FLOSは革新的で高品質でありながら、刺激的なプロダクトの生産を続けていました。また、産業合理化のみならず、直接的なコミュニケーションにも重点を置き始めます。
そのため、1966年には他7社と共にインダストリアル・デザインに特化した「オッターゴノ」という新しい雑誌の刊行に取り組みました。また、1968年にはモンフォルテ通りに、ミラノ/ブルジョアジーの建築家ルイージ・カッチャ・ドミノーニの設計によって建てられた建物の一環でFLOSストアが開店しました。この店舗はアキッレ・カスティリオーニのディスプレイによって、魅力的な『コミュニケーション(通信)ツール』になりました。
それ以降、コルソ・モンフォルテのショーウィンドーは新製品の紹介ができる定期的なコミュニケーションの場となりました。
カスティリオーニはこれらのディスプレーを毎回、自由奔放なポップ感、オプ感(オプチカール)を齎しながら、見下しも見栄を張ることもなく、常に通行人やファンの注目を集めるように創り上げていました。そして、そのディスプレーの効果でFLOSのロゴや製品に必ず「驚き」や「楽しい」感情が結びついて記憶に残るようになりました。

S.C.

  • 1966_1970_047033584
    Construction works for the Milan store, Corso Monforte 9, 1968
  • 1966_1970_057051511
    The first Flos catalogue, luxury edition, graphic design Max Huber, 1969
  • 1966_1970_09707278
    A. Castiglioni, technical drawing for the lamp Parentesi, 1970. Courtesy of Fondazione Achille Castiglioni.
  • 1966_1970_087083919
    Sergio Gandini with the lamp Snoopy, A. and P.G. Castiglioni, 1968